「このミステリーがすごい!」の2009年版1位に選ばれた伊坂幸太郎の小説を原作とした映画。
物語の舞台は仙台市(撮影地も全て仙台)
首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の、2日間にわたる逃亡劇。
タイトルは、ビートルズの名曲「Golden Slumbers」から付けたもので
映画の中でも多くの場面で斉藤和義さんがカバーした「Golden Slumbers」が流れます。
2018年には、同名タイトルで韓国版リメイクの「ゴールデンスランバー」が公開されました。
評価:9.0/10点
あらすじ
物語の舞台、仙台市では総理大臣の凱旋パレードが盛大に行われている中、
元宅配ドライバーの青柳雅春は、数年ぶりに大学時代の親友・森田森吾に「釣りに行こう」と呼び出されパレードの近くにいた。
森田に「お前、オズワルドにされるぞ」と告げられた青柳は、なんのことか分からなかったが
その直後、パレード中の総理大臣がラジコンヘリ爆弾によって暗殺される。
(※オズワルドは、ケネディ大統領暗殺事件で犯人に仕立て上げられたとされている。)
「お前は逃げろ」と言われた青柳は、乗っていた車を後にするが
森田は自動車に仕掛けられた爆弾によって爆殺されてしまう。
現場付近のビルでラジコンを操作している映像やラジコンヘリを購入している映像など、
身に覚えのない証拠が次々と報道され、自分を首相暗殺犯に仕立て上げようとしている何かが存在していることを思い知らされる。
果たして、青柳はこの巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか…?
【基本情報】
監督:中村義洋
出演:堺雅人(青柳雅春) 吉岡秀隆(森田森吾) 竹内結子(樋口晴子) 劇団ひとり(小野一夫) 浜田岳(キルオ)
上映時間:139分
評価

ストーリー
首相暗殺犯に仕立て上げられ、指名手配、さらに全ての交通機関が止められ、道路も封鎖され仙台市から出られない、という絶望的状況。
しかし、青柳雅春の人柄に触れてきた昔の彼女やサークル仲間、職場の先輩など周りの人たちが彼を信頼し助けてくれます。
緊張感たっぷりな設定ですが、ずっとハラハラするってわけでもなく、思わず笑ってしまうようなシーンも多々あって
話自体もかなりテンポ良く進んでいくので、139分の映画を見たような気がしないですw
ストーリーもメッセージも濃いので「これが139分に詰まってんのかよ…」ともなりますし、
時間感覚がよくわからなくなるくらいサクサク見れて面白いです。
人と人との繋がり、絆、信頼関係の大切さを再認識させてくれる素敵なストーリでした。
キャスト・キャラクター
青柳雅春役の堺雅人さんの演技は最っ高!でした。
人柄の良さが滲み出てて「あ、いい人だ」って伝わってきますし、
にやけながら?笑いながら?喋るところなんかが特に良かったですね。
他の出演者さんたちもめちゃくちゃキャラが立ってて褒め称えたいんですが、
逃走中にいろいろな人に助けられて…ってストーリーなだけあって
登場人物に重要な役柄の人が多くて書くと長くなってしまうし、ネタバレしまくるので残念ながら我慢します( ;∀;)
とにかく魅力的な人たちが多くて、誰を主軸にしても良い映画になりそう感がありますw
演出(映像・音楽)
タイトルの「ゴールデンスランバー」がビートルズの曲名から引用ってだけあって
やっぱり音楽演出は最高に良かったです!
音楽監督を斉藤和義さんがやって、「Golden Slumbers」のカバーや劇中曲、主題歌の作曲もしてと至れり尽くせり。
何と言っても Golden Slumbers ですよ。
劇中で何度か流れましたが、クライマックスのところにサビのインパクトが合わさって
映画を観ている人の気分をめちゃくちゃに盛り上げてくれています。
ちょっと笑って、めっちゃめちゃ泣けるヒューマンドラマ×ミステリー

証拠を捏造されて、首相暗殺犯に仕立て上げられる、陰謀からの逃走劇という設定なので
かなりの緊張感を持って始まるんですが、ちょうどいいバランスで笑えるポイントが入ってて
ハラハラしすぎることなく、でも緊張感は忘れずにっていう絶妙な気持ちで見れました。
いろんな人たちが、青柳を信じて、助けようと動いたのは
青柳が人との繋がりを絆を大切にして、何よりもまず自分から周りを信頼していたからなのでしょう。
素敵なメッセージが詰まった素晴らしい映画でした!
最後に印象に残ったシーン、セリフを紹介して終わりにしますが、ここからはネタバレを含むかもしてないので
この映画が気になった方は是非とも先に映画を見てください!超おすすめです!!!
印象に残ったセリフ・名言

「人間の最大の武器は何だか分かるか?…習慣と、信頼だ。」
冒頭の森田と青柳の会話で森田が言ったセリフです。
終盤あたりの青柳の「俺に残された武器は、人を信頼することだけですから。」というセリフに繋がるんですが、
これが、あーなるほど確かに!って思って印象に残ってます。
そりゃあ、普通に生活してるとこから指名手配犯になったら習慣なんて…。
「やったのか?」
とにかく青柳に会う人が揃ってする質問です。
「(首相を)殺ったのか?」ではなく「(アイドルと)ヤッたのか?」ですw
事件の数年前に当時のトップアイドルを助けて一躍時の人となった青柳に
どうしてもやったのか確認したかったんでしょうね…みんな。
「ロックだな」
青柳の宅配ドライバー時代の先輩・岩崎英二郎(渋川晴彦)のセリフです。
何かにつけてロックと関連付けようとするんですが、無理があります。
逃走を手助けする際に、「どっちへ行く?北か?南か?」という問いに
青柳が「北で」と答えると「北か、ロックだな!」と言うんですが。
意味不明でしょw北がロックな理由を教えてw
ただ、なんかカッコいいんで是非とも人生で一回は言ってみたいです。ロックだな!
「ビックリした?」
連続通り魔事件の犯人キルオ(濱田岳)が人を刺した後に言う決め台詞みたいなやつです。
セリフやシーンが印象に残ったというより、キルオのキャラクターを印象付けるセリフとして取り上げてみました。
これも使ってみたいけど、人を刺す機会は無いと思うので…どんなシーンで使うか検討中です。いい案があったら教えてください。
「死んだら逃げたことになんねえぞ」
どっちかと言うと裏稼業の保土ヶ谷康志(柄本明)が青柳に言うセリフです。
「捕まるくらいなら死んだほうがマシだとでも思ってんじゃねえだろうな」に続いて言うんですが
陰謀の黒幕から見ても、青柳やその周りの人間から見ても、確かに!と思うセリフです。
「ちゃちゃっと逃げろ」
青柳雅春の父・青柳平一(伊東四郎)がインタビューで青柳に向けて放った言葉です。
このシーンは、めっちゃ涙が出てきます。
親子や友情の物語にめちゃくちゃ弱いので見るたび泣きますw
映画を見ずにここまで見ちゃった人に見どころを残すためにも、この辺で終わっておきます。
最後に。
痴漢は死ね!
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